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平成19年から始まった年金の分割制度はこれによって一時的に離婚するカップルの増加が起こるほどの社会的影響を及ぼしました。この年金分割制度は、離婚した夫婦のうち、特に専業主婦や自身で治めた年金額や期間が配偶者より少ない場合に、もらえる年金額に差が出ることを懸念して始まりました。これによって専業主婦の潜在的な離婚希望が平成19年から数年間で表に現れ始めたということです。もちろん、近年の離婚件数の増加はこれによるものばかりというわけではありません。しかし、この制度の登場で老後の生活に不安があったために継続困難な結婚生活に縛られていた専業主婦などが選択することが出来るようになったことは評価すべきかもしれません。
年金の分割制度は2段階となっています。まずは平成19年から実施された合意分割です。離婚時の年金分割制度の対象となっているのは厚生年金です。国民年金の自営業者、基礎年金部分は関係ありません。専業主婦(夫)または共稼ぎでもお給料、就労期間に差がある場合に分割されます。専業主婦(夫)家庭では働き手であった方の、共稼ぎでは夫婦二人の収入を合わせたものを上限の2分の1まで分けられます。夫婦の合意、または裁判所の決定で決められ、老後それぞれの口座に振り込まれることになります。
次に平成20年施行の3号年金分割と言われているものが来ます。これに対象となるのはこの制度の施行後の期間に第3号被保険者となっていたものです。第3号被保険者と言うのは第2号(つまり厚生年金に入っている会社員などのこと)の配偶者である人たちのことです。こちらの分割は第3号被保険者からの請求のみで相手方の同意なしに行うことができます。分割割合も自動的に2分の1ずつとなります。前述の平成19年施行の制度は過去も遡れますが、この制度では自動的に分割できるのは施行後の期間のみでそれ以前の分はやはり夫婦の合意か裁判所の決定に委ねられます。分割された年金は、(元)配偶者が先に死亡しても変わらず、老後受け取れることとなります。再婚しても変わりません。
分割制度は大変有意義なものかもしれませんが、年金を分割されたからと言ってその後の人生で支払いを怠ると、そもそもの年金受給資格に当てはまらなくなる恐れもあります。今まで配偶者に任せ、給料が天引きであった分、払い忘れをしないように注意が必要です。