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強制執行認諾条項について

裁判所は揉め事や争い事をさまざまなやり方で裁くところですが、すべての揉め事が裁判で争われるということはありません。民事事件では裁判所に申し立てることなく、当事者や関係者の話し合いで結論を出すというやり方もできます。しかし、この方法では時間の経過やそれぞれの状況の変化によって、そこで決められた結論や約束事が反故にされることもあります。そこで我々はそれらの結論や約束事を法的に効力のあるものとするために公正証書を作成するのです。公正証書には強制執行認諾条項をつけて、約束が守られなかった際の債権回収などが出来るようにしておくことも忘れてはなりません。

裁判という方法は、いずれにせよ結論が出るためすっきり分かりやすくなってはいますが、敗訴した側や意にそぐわない内容だった場合には心情的に不安や不満が残りがちです。公正証書は当事者自身によって決めた内容を残すという形の為、どちらも納得の上で結論を出したという前向きな心象が残り、債務者も証書の内容に沿う努力に前向きになれる要素となります。また、口約束と違い書証として明らかですし、公正証書は公証役場に保存されるため無くした時も安心です。

公正証書は公証役場で作成されます。とはいえ内容を決めるのは我々です。そしてきちんとした形、文言で書かれなければ、法的な拘束力が無くなってしまいます。公正証書などの法律に基づいて官公署に提出する書類を作成するプロが行政書士です。弁護士費用より安く、時間も裁判よりもかからないため、民事ではこの方法を採ることがあります。協議離婚の際の決めた内容もこの方法で残すことは多くあります。しかし、特に離婚の際に決められるお金のやり取りの約束事では、守られている割合が低く、強制執行認諾条項付きの公正証書を作成しているにもかかわらず、強制執行されない例も多いのが実態です。また証書内の文章によっては、いろいろな捉え方が出来るとして、裁判所で強制執行を認められないこともあります。

強制執行認諾条項付きの公正証書は私たちの権利を公正に守るための方法の中ではより手軽でスピーディな方法です。作成から請求、強制執行まで正しく使うことで、労が少なく功の多い手段となるでしょう。

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