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念書について

ビジネスでは一般的な契約書類ですが、ごく内輪の夫婦関係でもこれの必要性が出てくることがあります。例えば夫婦の間でどちらか配偶者の不貞行為や金銭に関する問題などが起こり、今後の対応や行動の規制を明確にしておきたい場合や、結婚前に是非しておきたい約束事を文書化しておく時などです。この時使われる文書を念書と言います。念書は、それ自体に法的な拘束力はありませんが、問題が起こった際や念書の内容を実行してほしい時に裁判で争う上で、有力な証拠となります。

念書を証拠として残すためにはクリアしておかない条件がいくつかあります。それは具体的な固有名詞や個人を特定することと、誰がどんな状態で書いたかを明確にしておくことです。これが曖昧だと,争うことになった段階で相手の反駁や翻意を可能としてしまいますし、第三者から分かりにくく証拠として不完全だからです。人の名前や住所、勤め先を明記しそこに記される人間は全てどこのだれかを特定します。また、強制的に書かされたのではないこと証明に、人の多いレストランや喫茶店などで書いてもらい、書いた場所も一緒に記載します。配偶者の不貞関係が問題となっている場合には、「もうしません。」という内容だけでなく、そういった関係があったことを認める内容や慰謝料の額も明記すべきです。浮気相手にも同様のものを書かせておくと、心理的な抑制にも繋がるかもしれません。

念書が必要な理由は、基本的に裁判になった時に証拠として認められる可能性が高いためです。口約束だけでは、いざ問題が起こったり責任を追及された時、責任を逃れるために意思を翻したり、嘘をつくことも可能となります。実際に慰謝料を払いたくなくて浮気の告白を後で翻す人は多く、目に見える形で残すことは大切なのです。不貞行為を改め、夫婦関係を修復しようとしているとしても、念書は自分の身を守る手段として、取っておいて損はありません。

情やプライドに負けて、口約束で済ませることが多かった日本の社会ですが、最近だんだんと約束の明文化の必要性を理解する人が増えています。自分の権利を守り、円満な人間関係を築くためにも感情だけではなく、冷静な法の判断にゆだねることで、罵り合ったり悪い部分をあげつらったりする必要が無くなり、その後の関係に残す遺恨も少なく済むかもしれません。

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